キャリア・アンカーとは、どんな意味だろう

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キャリア・アンカーという言葉があります。
この言葉はシャインが使っている言葉で、著書のタイトルでもあります。
今回の記事では、このキャリア・アンカーについて理解を深めておきましょう。
理解を深めるために、金井壽宏氏の『キャリアの学説と学説のキャリア_0907_1』というレポートから都度引用します。金井氏はシャインとは師弟関係を結んでおられます。

キャリア・アンカーとは、仕事が変わっても、会社ごと移っても、そのひとがどこでどのような仕事をしようと、「どうしてもこれだけは犠牲にしたくない」ほどに大切にしているもので、内容的には、次のようなカテゴリーがある(Schein 1990)。

  • 専門を極めること
  • 人びとを動かすこと
  • 自律・独立して仕事ができること
  • 安定して心配なく仕事ができること
  • 絶えず、企業家として(あるいは、企業家のように)なにか新しいものを創造すること
  • だれかの役に立ち、社会に貢献できること
  • 自分にしかできないことに挑戦し続けること
  • 仕事と家族やプライベートのバランスがとれるライフ・スタイルを実現すること

このようにシャインは8つのカテゴリーをキャリア・アンカーとして定義しています。

金井氏は、キャリア・アンカーについて次のように述べています。

キャリア・アンカーがクローズアップされるのは、キャリアの節目で戸惑ったときに、自分も内なる声に従った心ある選択をするためである──このため、その学説は,内的キャリアを扱っているといわれる。

ここで、内的キャリアという言葉が登場します。そして、次のように解説しています。

キャリアを旅にたとえるなら、内的キャリアは、旅人の心の状態や充実感に関連し、外的キャリアは、旅路の風景の特徴にかかわる。
内容的には,内的キャリアには,

  • 達成の誇り
  • 内発的な職務満足
  • 自尊心(self-worth)
  • 仕事の役割や制度へのコミットメント(積極的なかかわり)
  • 充実をもたらす関係(それ自体に価値・意味のある関係)
  • 道徳的満足感

が含まれ、

これに対して,外的キャリアには

  • 地位やランク(階層上の位置)
  • 物質的成功(財産,所有物,収入)
  • 社会的評判
  • 名誉,影響力
  • 知識やスキル
  • 友情やネットワークのコネ(資源や情報を得る用具的関係)
  • 健康と幸福

が含まれる。

自己実現や個性的な生き方がいくら大事でも、環境に適応できていないと幸せにはなれない。もちろん、逆に、いくら地位、名誉、財産にめぐまれても内面的に空虚であれば、それも困る。だから、外面的な成功がキャリアのすべてだと主張しているわけではない。両方を組み合わせて複眼で見る必要性を説いているのであった。

キーリソースは、内的キャリアを源泉として、いままでに獲得してきた外的キャリアとも言えます。外的キャリアばかりに関心を寄せるのではなく、内的キャリアも8つのキャリア・アンカーとともに、意識するようにしましょう。

成功したといえる指標は、この両方と言えます。パーソナルビジネスモデルが成立するとは、内的キャリと外的キャリアの両方が、程度の差こそあれ、満たされ、8つのキャリア・アンカーが達成されていることです。

さて、キャリア・デザインという言葉にも金井氏は言及しています。

キャリア・デザインという言葉には、節目で見えてきた選択肢から慎重に選ぶという意味合いもあるが、同時に、選択肢をデザインしているということは、迷っている、戸惑っているということでもある。だから、もしだれかが、いつもキャリアをデザインしていたら、不都合なことである。デザインは節目だけでいい。同様に、ドリフトにも、「流されている」「漂流している」というネガティブな意味に加えて、「流れの勢いに乗っている」というポジティブな意味もある。節目で決めた(デザインした)あとは、いつまでも、この選択でよかったのかなどとくよくよ悩むよりも、勢いに乗るという意味でドリフトすることが大事だ。だから、節目では、キャリア・デザイン的発想、したがってキャリア・アンカーなどで自分を知ることが大事だが、節目と節目の間では、クランボルツが説くように、偶然をうまく活かすべく、迷うより活動する、ここで使った言葉では、「勢いに乗る」という意味でのドリフトが大切になってくる。

デザインは、確かに試行錯誤の連続です。しかも、正解がありません。

そこで、いつまでもパーソナルビジネスモデルをデザインしている(描いている)のではなく、ある程度固まったら、行動に移してみることが大事です。行動に移してはじめて、マーケット(市場や顧客)の反応として、フィードバックがあり、自分の描いたパーソナルビジネスモデルの手ごたえを感じることができます。

自分のデザインのレベルも感じ取ることができるはずです。

ここでは「偶然」という言葉を使っています。

デザインしていく中で、自分自身の物事を感じる内的センサーが研ぎ澄まされ、いつもと同じ、あるいは今までも遭遇したであろうできごとにも、なぜか、敏感に反応したりすることで、自分自身の将来を決定づける選択をしていることです。

適切な機会の選択であるかどうかは、なかなかわかるものではありません。そのときに選択しなければ、もちろんその先に、何が起きるかもわかりません。行動に移し、選択を続けていく過程で、培われてくるものもあります。

今の自分自身を信じて、勇気ある一歩を、踏み出すことの意味は大変に大きい。

いま選択している時点では、単なる「点」であるかもしれませんが、やがて時間が経つと、過去の「点」と「点」が結ばれ、線になり、面になっていき、現在の自分自身になっていくというイメージです。

また、将来に対して、ワクワク感が充実し、時がたつのも忘れて、没頭するような自分を見出すことです。

後になって、出来事の意味がわかるものです。それが人生の醍醐味でもあります。

デザイン思考と行動の両輪で、つよく自分自身の今と将来をイメージし、荒れ狂う大海原に遭遇しても、流されないように、しっかりとアンカーを打ち込み、方向(方角)を見据えて、自分らしい人生を生き抜くましょう。

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