このページの目次
  1. <1>ライフ・ホイールを描く。人生には仕事と同じくらい、それ以上重要なものがあるかもしれない
  2. <2>わたしはどんな人? 自分の核となる関心事を見つけるための子供時代を思い出すエクササイズ
  3. わたしはどんな人?<事例>私の場合の子供時代の関心ごとは何だったのだろうか?
    1. 長期的な目的や目標をもっていなかった
  4. <3>私はどんな人?いつくかの役割を担う自分はどんな人だろう?10枚のメモ用紙を用意する
  5. <4>自分をワクワクさせるものを確認するためにライフラインを描く
  6. <5>ライフラインの出来事を描写する。仕事の満足度を決定づける要素(関心)を見つけ出すために
    1. 表現するための4つのポイント
  7. <6>ライフライン図から出来事を描写し、次にスキルと能力を特定する方法
  8. <7>自己発見エクササイズ:友人、同僚、上司、親などの身近な相手と一緒に取り組む
    1. 第三者と取り組む
    2. 自分探しではない、自分を理解するため
  9. わたしはどんな人?<8> 「ホランドの6つの傾向」で自分の傾向性を把握する
    1. 職業選択のふたつの観点
    2. ホランドの6つの個性の定義
    3. 6つの個性とは何か?
    4. 私の場合はどんな傾向が見られるのか
  10. キャリアの選択を決めているのはなんだろう?周囲の期待などより、自分の関心事にフォーカスできないだろうか

<1>ライフ・ホイールを描く。人生には仕事と同じくらい、それ以上重要なものがあるかもしれない

キャリアカウンセラーが活用するツールのひとつに、「ライフ・ホイール(人生の車輪)」というものがあります。下図のようなものです。

 

ライフホイール

 

円の周囲には一人ひとりが興味を持つ下記のような分野を配置しています。

  • 愛情。
  • 楽しみ・レクリエーション。
  • 職業。
  • 友達・家族。
  • 個人的・精神的成長。
  • 富・お金。
  • フィットネス・健康。
  • 自己表現・クリエイティビティ。
  • 環境・家。

ライフホイール作成の手順

  1. 自分に関係が深い8つの分野を選択して、円の周囲に書く。
  2. 8つの分野それぞれに自分はどの程度満足しているか記入する。
  3. 円の中心がゼロ、円周上が最大値。
  4. 図では予め円周に向かう線上をおおむね3等分してある。円の中心は「全く満足していない」、次が「やや満足」、「満足」、「十分に満足」となるだろう。
  5. 現在の自分の満足度はどの程度か、線上にマーキングする。
  6. 8つの分野それぞれにマーキングし終わったら、それを選でつなぎ合わせていく。内側に色を塗ってみると、満足度合いがよく分かる。
  7. 次に、自分が8つの分野それぞれに、今どの程度の満足を求めているのかを同じ要領でマーキングし、つないでいく。

現在の満足度と求めている満足度が一致していますか。

 

私の場合は次の画像のとおりです。

 

わたしのライフホイール

 

「クリエイティビティ・自己表現」、「個人的・精神的成長」、「富・お金」、「職業」にかなりのギャップがあり、不満が生じていることになります。

 

「富・お金」は仕事の対価だから、自らの仕事の価値がかなり低いと思われます。キーリソース、キーアクティビティから導き出される「顧客に与える価値」が相当低いと言わざるをえませんね。

 

解決するためには、「クリエイティビティ・自己表現」と「個人的・精神的成長」の分野で圧倒的な努力しなければならないようです。

 

自分で選んだこれらの分野で満足度にギャップがあるということは、私の関心事はそこにあるともいえます。自分の核となる関心事を知る手がかりになりそうですね。

 

関心事の向く先は、欠乏感でもありますね。この欠乏感(ニーズ)をとにかく埋めたいと思っているわけです。

 

満足度を向上させるために、「クリエイティビティ・自己表現」や「個人的・精神的成長」と「職業」の分野で、何にどのように取り組むのかを明確にしなければなりません。

 

それには私の「個性」と「スキル・能力」を特定して、これらを生かしていく活動が必要なってきます。ここで登場してくるのが、「スキル・能力」はどんなものかを知るためのエクササイズの前提となる「ライフラインを描く」です。

 

このように仕事そのものも大事ですが、自分自身の人生や仕事に対する満足度はもっと大事になると思いませんか。それを「幸せ」と表現してもいいかもしれません。

<2>わたしはどんな人? 自分の核となる関心事を見つけるための子供時代を思い出すエクササイズ

自分の核となる関心事を見つけるための子供時代を思い出すエクササイズです。

 

子供時代を思い起こす方法は、下記のように時代分類して、色々と思い出すといいでしょう。
思いつく限り全部書き出しでみることです。
一旦書きだした後、時間をおいて、書いたものを眺め、またチャレンジすると、別な視点から思い出すこともあります。

 

これは、自分自身の関心事とともに個性や気質にも関連のあることです。

  • 小学生以前。
  • 小学校時代。
  • 中学校時代。
  • 高校時代。
  • 大学生時代。

「いったい私はどんな人?」という疑問の答えのヒントを得ることができる。

 

次の記事、「私の場合の子供時代の関心ごとは何だったのだろうか?」の事例を参考にしてください。

 

書きだしてみると、何かに熱中していた自分を愛おしく思えてくる。
自分は傾向性を持っていたのか、どんな気質だったのかも理解できるようになります。
それが今につながっていることを理解できます。

 

本当に子供時代と何ら変わりない自分がいることを再発見するでしょう。
大人になるに従って、いかに子供時代と一線を画してきたことか。
残念に思えてきます。

 

このエクササイズの次に、「ライフライン」を描くエクササイズがあります。
その時に、書きだしたものは役に立ちます。

わたしはどんな人?<事例>私の場合の子供時代の関心ごとは何だったのだろうか?

あなたのキーリソースはどこから生じているのでしょうか。

 

書籍『ビジネスモデルYOU』では、子ども時代の関心事は何だったのだろう、と問いかけています。

 

今の私たちをつくりあげてきている子供時代に思い出すと、いまの私たちがやっていることにあまり違いがないこともあり、驚くことがあります。
それは仕事への満足感にも確かにつながっていると感じることがあるからです。

 

あなたはどんな人?自分の核となる関心ごとにフォーカスする6つの方法
という記事があります。
この中の「20歳以前の自分を思い出してみる」というエクササイズです。
書籍『ビジネスモデルYOU』では、核となる関心事を前面に出してみることを推奨しています。
ライフラインを描くときにも参考になってきます。

 

なにをするのが好きだったのか?
本来の自分の気質を思い出してみる。
何をしている時に時間を忘れていたか?

 

さて、私の子供の時代の関心事は一体何だったのだろうか?

 

20歳以前のことを思い出してみました。
かすかな記憶を頼りに、とにかく列記してみよう。

 

小学生以前

小学校に上がるまでの数年間、母の実家(田舎)で過ごす。
馬小屋が住居と一緒だった。
おばあちゃん、おじいちゃんと一緒に寝ていた。
村のガキどもと一緒に、山を、野を駆け回り、川で泳ぐ。
親戚に男の子よりも女の子が多く、よく遊んだ。
夜半に母の背で眠っていた嬉しい思い出がある。

 

小学生時代

低学年のとき、初めて自分に父がいないことに気づく。
草野球を野原でよくやった。夢はプロ野球選手か、船や飛行機のパイロット。
とにかく学校が終わると暗くなるまでよく遊んだ。
野山にプチ家出を友達とやって、家族、地域の人に迷惑をかける。
勉強をやったという記憶がなく、少年漫画誌をむさぼり読んだ。
高学年になってから漫画を書くことに没頭した。漫画家になれるかもしれないと思った。
鳩小屋の設計図を自分で作り、近所大工さんに作ってもらった。
エルビス・プレスリーの監獄ロックを聞いて、衝撃を受けた。

 

母の話をを聞くと、手のかからない子供だったとのこと。

 

中学生時代

科学、野球、籠球、蹴球の各部に入った。
勉強は高校受験があるので、しょうがなくやっていた。
見栄を張って、理科や数学ができるように頑張ったのだが、どちらかというと苦手科目だった。
英語は好きで、上位の点をとっていた。音楽には全く興味を示さなかった。
3年の後半から、文学(小説)に興味を示すようになった。
生まれ育ったところが三沢(米軍基地がある)のせいか、アメリカへの憧れが強くなる。
明確な夢はなかった。とにかく早く「田舎」を出て行きたかった。

 

高校生時代

文学にハマるようになる。
ロマン・ロランのジャン・クリストフを読み始める。
詩を書き始め、投稿したりした。
部活ではサッカー部に入ったが、怪我ですぐ退部。
2年生になり、生徒会長に立候補、当選。
首都圏の高校生運動に共感して、長髪・私服を許可するように動く。
動機は、田舎の閉鎖的な雰囲気を変えたかったから。
昂じて、早く田舎を出たいというようになり、卒業式を前に出奔。
夢は海外で仕事をすること。
横浜で一浪して大学へ。

 

大学生時代(2年生まで)

離島の理科の先生を目指して、物理学科に入学。
1年生の5月、勉強に身が入らない。
キャンパスでEDD(英語劇の同好会)に声をかけられ入部。
シェイクスピアの作品を原語で行う同好会で、英文科のメンバーが多数。
サハラ砂漠を横断したいという夢をもつ。
同好会の友人二人と北海道の旅をする。
3年で中退するがそれまで、文学と芝居の世界に浸る。
芝居とは何か?役者とは何か?海外の文献を読み漁る。
バイト先で知り合った芝居仲間で、劇団を立ち上げ、旗揚げ公演を行う。
生活はスナックのバーテンや肉体労働のバイト代で凌ぐ。

 

長期的な目的や目標をもっていなかった

いやはやなんと自堕落で目的のない歩みなのだろうかと思ってしまう。
列記してみて、ため息が漏れてきます。

 

褒められるところはないが、総括してみよう。

 

自分が本当にやりたいからやったといえるものがあっただろうか。
行き当たりばったりと言った方がいい。
はずみという言葉あるが、ピッタリだ。

 

何かを始める時に、周囲の環境変化に流されやすいといえるかもしれない。
ただ何かを始めると、その分野を突き詰めたいという衝動に襲われ、ある期間知識などの吸収に没頭する傾向が強い。
それも徹底的にやる。あるレベルになると、どういうわけか投げ出してしまう飽きっぽさがある。

 

ある分野に興味をもつと、情報を集め、調べ、まとめて現場に適用しようという傾向がありますね。
それと、文学、異文化に非常に惹かれている。

 

仕事のシーンでも、傾向性が出ていますね。
これを気質というのでしょうか。
関心事というよりは、私自身の傾向性を再認識しました。

 

長期的な視野がなかったことになりますね。
身近に人生について語ってくれる人、尊敬できる人がいてくれたら、どんなに変化が起きたでしょうか。

<3>私はどんな人?いつくかの役割を担う自分はどんな人だろう?10枚のメモ用紙を用意する

「私はどんな人?」という本質的な問いについて、『ビジネスモデルYOU』では、ディック・ボウルズの効果的な方法を紹介しています。

 

取り組む上でのヒントは、、自分の役割で「私はどんな人?」を定義してみることです。
役割というのは、私は「父(母)」「息子(娘)」「配偶者」「兄弟姉妹」「○○会社の営業担当の管理職」「△△の趣味の愛好者」などという具合です。

 

自分の役割は?

 

それでは、その手順を確認してみましょう。

  1. なにも書いていないメモ用紙を10枚以上用意する。

    紙の大きさは、A4用紙を16分割した位のものでいいだろう。太いペンで文字を書く場合にはこの2倍くらいか。とにかく10枚以上用意する。

  2. 一枚一枚に「私はどんな人?」と紙の上部に書く。
  3. 「私はどんな人?」か、を書いていく。
  4. 書き終わったら、次の2点について、書いた答えを膨らませてみる。

    ・なぜ、その答えを書いたのか?
    ・その答えに関連して、なにかワクワクすることがあるか?

  5. 全て書き終わったら、どの紙が自分にとって大切か検討する。

    大切さの優先順位をつけ、最も重要なアイデンティティはどれだろうか?
    最も重要な紙を一番上にして並び替え、重ねていく。最も重要でない紙が一番下になる。

  6. 重ねられた10枚の紙に戻り、自分をワクワクさせるものについてなにを書いたか見てみる。

    10枚の紙に共通項はあるだろうか?もう一枚紙を用意し、共通項を書きだす。

 

このエクササイズでは、書籍『ビジネスモデルYOU』で次のようにコメントしています。

ほら、どうです!自分がワクワク、満足、そして周りに役だっていると感じるための、理想の仕事やキャリア、自分の使命に取り組む上でなくてはならないものが、示されているでしょう。
あなたの役割を試しにキャンバスに落とし込んでみると

よくどんな仕事をしていますか?と聞かれることが多いですね。
この質問には、あなたはどんな人ですか?という思いが込められているような気がします。

 

仕事を聞かれて名刺を渡して、説明をくわえながら、こんな仕事をしていますという会話をしますね。
でも、本当の興味は人そのものにあるのではないでしょうか。

 

人にはそれぞれいろんな役割があります。
どんな役割があるか、ちょっと挙げてみます。あなたの属性といっていいものもあります。
いずれの役割にも、あなたの「顧客」がいて、使う「リソース」、行う「アクティビティ」、実現する「与える価値」などは異なります。

 

父、母

 

夫、妻

 

息子、娘

 

〇〇会社の〇〇部(課)の社員

 

友人、同志、〇〇コミュニティの仲間、

 

市民、県民、国民、日本人

 

試しに、父、母、息子、娘のいずれかの役割をキャンバスに描いてみましょう。
きちんとあなたの役割としての機能を果たしているでしょうか。与える価値を実現しているでしょうか。

 

パーソナルビジネスモデルはこうした側面からも、キャンバスを利用すると、自分自身のことを見つめなおしていくことができます。

<4>自分をワクワクさせるものを確認するためにライフラインを描く

ライフラインとは、自分の年表(自分史)のようなものです。
ライフラインの作り方は次のとおりです。

  • 一枚の紙を横にする。A4あるいはB4サイズの用紙など。
  • 用紙の中央に一本の線を引く。この横軸は、時間の経過を示す。左が過去で、右が現在。つまり、左から右に向かって時間が進んでいる。
  • 左端に縦軸の選を引く。これが喜び/ワクワクの度合いを示す。横軸の上が喜び/ワクワク度がプラス、下がマイナスだ。

STEP1
この紙に、自分の人生で喜びを感じた時、落ち込みを感じた時の節目を、出来事を書き出してみます。

 

例えば、私は23歳の時に1年間エジプトで仕事をする機会がありました。早いうちに海外経験したかったので、喜び/ワクワク度は最高でした。

 

私たちは自分の人生で数々の喜びやワクワク感を味わっています。それぞれの出来事ごとにその度合を上記の紙上にプロットしてみましょう。

 

プロットされた点のところに、出来事を短文で簡潔に記述しておきます。
上の例では、「エジプトで1年間仕事」という具合です。

 

出来事ごとにプロットされた点は、喜び/ワクワクの度合いによって、プラスにあったり、マイナスにあったりします。その度合いも、同じプラスでも中位の場合もある。マイナスもそうです。プロットされた点を最後に線で結んでみます。
ライフライン
(ライフラインの例、書籍『ビジネスモデルYOU』から引用)

 

こうしてできたライフラインの図を見ると、今までの自分の人生の乱高下がよく分かりますね。

 

どんなことで喜び、落ち込んだのか。
何が原因だったのか。
仕事の満足度の程度はどうか。
自分はどんな傾向性をもっているのか。

 

出来事で特に重要なのは、人生の節目で、はっきりと覚えていて、強い感情が湧き出ているものです。
キャリアの変更では、ポジティブのものから、ネガティブなものもあり、すべて書き出してみましょう。

 

最初に書きだしたライフライン図を見ているうちに色々と思い出してきます。全て書き出しておくといいでしょう。

 

このエクササイズは、後で明確にしていくキャリアの「スイートスポット」を理解する上で大切です。
ぜひ、自分の人生のライフラインを描くエクササイズに取り組んでください。

 

ちなみに、キャリアの「スイートスポット」とは、「関心」と「個性」と「スキルと能力」の3つの輪の交わる部分のことです。
仕事の満足度決めるのは、この3つの要素です。

 

次の記事では、ライフラインを描く STEP2 のエクササイズを紹介します。

<5>ライフラインの出来事を描写する。仕事の満足度を決定づける要素(関心)を見つけ出すために

前回記事では、STEP1の作業として、ライフラインを描く方法、そのポイントを紹介しました。

 

今回はSTEP2「出来事の内容を描写する」ことについてです。

 

ライフライン図に登場した一つひとつの出来事について、短い文章で表現してみよう。

 

表現するための4つのポイント

  • 出来事を説明すること。
  • 動詞をたくさん使うこと。
  • 一つの出来事について、ふたつ以上の動詞を使うこと。
  • 出来事の状況や背景も書くこと。出来事の起こった場所やテーマなども。

いつ、どこで、何を、なぜ、だれと、だれのために、どんなことを、どのように行った、という内容です。

 

出来事の描写には、例えばA4用紙を16分割などして出来事ごとに描写するといいですね。出来事リストを作るという意味ですね。

 

上記のポイントもありますが、完璧に出来事の内容を描写することはありません。どんどん出来事の内容をまずは描写していきましょう。文章を書いた後に、また一つひとつ見なおして足りないと思った内容を追加、あるいは変更/削除をしていけばいいですね。

 

ひと通り書き終わったら、読んでみてください。きっと、「私はどんな人?」なのか把握できるでしょう。

 

では、先に進みましょう。

 

STEP3のエクササイズです。
STEP3「関心を認識する」

関心とは、あなたを本当にあなたたらしめる、大切な才能(キーリソース)です。

ライフラインでの(プラスの)高いポイントを付けた出来事(ワクワクさせた出来事)を考えてみます。

 

書籍『ビジネスモデルYOU』のガイドは次のとおりです。

  • どんなコンテキスト(業界/テーマ/関心のある分野)でそれは起こったのか?
  • どんな活動や行動があったのか?
  • 他に何かの共通点はないか?
  • それは特定の関心をあなたが持っていることを示していないか?
  • 関心はライフホイールの結果と一致しているか?
  • キャリア変更の決断した際の、ポイント(プラスあるいはマイナスポイント)を確認してみる。

書籍『ビジネスモデルYOU』では、キャリアへの満足度を高めるに必須なのは「統制の内的所在」だと言っています。

 

「統制の内的所在」とは、あなたのしたいことをあなた自身のために決めるのがあなただ

 

という意味です。

 

周囲から影響を受けないで、自分で決めるということですね。
周囲から影響を受けないで、自分で決断するというのは大変難しいことです。周囲からいろいろな情報が入ってきても、他者に頼らずに、主体的に判断、決断するということだと思います。

 

出来事の中で比較的満足度の高い(プラスポイントの高い)選択では、こうした自己による決断が相当部分占めているのではないでしょうか。

 

その出来事の中に、自分の関心の核心があったと思います。それは何でしょうか?

 

STEP3の最後に、ライフライン図に描いた高いポイント獲得した出来事には、どんな自分の関心があったのかを理解できるようになります。

 

「私はどんな人?」としての自分の気づきを文章にしておきましょう。次のポイントを参考にしてみよう。

  • どんな関心をもち、どんな活動をして、どんな状況の中で、満足を得てきたのか。
  • 心から喜びを感じたのはどんな時だったのか。
  • 自分の成長はどんな活動を通して得られたのか。
  • 自分の鍵となるのはどんな動詞でしょうか?
  • (開発する/創造する/想像する/作る/学ぶ/調査する/分析する/実行する/一緒に動く/販売する/指導するなど)出来事を描写した時の動詞などを確認してみる。

 

次回は、ライフラインの最後のエクササイズなります。
今回までにライフラインを描き、出来事を描写し、自分の「関心」を導き出してみました。

 

次回STEP4「スキルと能力を特定する」作業に入ります。

 

STEP4の作業の次が、「個性と環境」にスポットを当てて、自分の個性の傾向性を把握していきます。
「ホランドの6つの傾向性」という方法論から自分の個性と傾向性を知ることになります。

 

つまり、「関心」と「スキルと能力」と「個性」の3つを把握することになりますね。
これで、キャリアのスイートスポットが発見できるわけです。

<6>ライフライン図から出来事を描写し、次にスキルと能力を特定する方法

これまでのエクササイズを振り返ってみよう。

 

「私はどんな人?」というテーマで、

 

ライフホイールを作り、核となる「関心事」を前面に出していくことを学んできました。
また、自分の複数の役割を記述して、自分自身を明確に理解できるように取り組んできました。

 

さらに、自分のライフライン図を作成してきました。
ライフライン図に登場してきた出来事を描写する作業をしました。
その内容から自分の「関心」は何かを掬い上げてきました。
こうして自分の「関心」を認識できるようになりました。

 

今回は、STEP4 「スキルと能力」を特定するエクササイズです。

 

次の表をよく見てください。
スキルと能力の表
PDFファイルにしていますので、リンクをクリックしてご覧ください。
スキルと能力を特定するためのチェック表

 

この表はあなたのスキルと能力をチェックできるように組み立てられています。
あとで紹介する「ホランドの6つの傾向」(六角形の図)と同期しています。
まずは、この表で、チェックすることから始まります。

 

手順は次のとおりです。

 

  1. ライフライン図から作った出来事リストを用意する。
  2. 出来事で、高いポイントのものに丸印をつける。(マーキングする)
  3. (出来事ごとに)高いポイントで行った活動を示す言葉を選択する。

    (正確に活動を表している言葉は少ないので、なるべく近いものを選択する)

  4. 縦の列ごとに選択(?チェック)した数を足していく。

「出来事リスト」と「スキルと能力のチェック表」、「まとめの表」は次のリンクから参照してください。PDFファイルです。
出来事リスト
私はどんな人?What kind of person am I?

 

次に、

 

あなたの行っているトップ10の活動は何か
「列ごと」のチェックの合計を数えて、自分の最も行っている活動のトップ10を書き出してみる。

 

1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.

 

あなたの好きな5つの活動は何か
点数に関係なく、時分が好きだと思う活動を5つ選ぶ。出来事リストの描写を見てみよう。その中に自分の好きな活動はありますか?その活動はチェックが多くついていたり、もっと時間をかけたいと思っている活動ですか?

 

1.
2.
3.
4.
5.

 

最後に、

 

あなたは何ができて、何がしたいか
「活動のトップ10」と「好きな活動の5つ」から、あなたが仕事に取り組むとき、ワクワクし、しかも上手く出来る3〜5つの活動を選び書き出してみよう。あなたには「するの能力」があり、「したいと思う活動」のことですね。

 

1.
2.
3.
4.
5.

 

ここまで来ると、自分はどんな活動を好み、ワクワクして取り組めるのか理解できますね。自分という人間像が浮き彫りになってきますね。

 

次回で、今回のエクササイズを踏まえて「ホランドの6つの傾向」について学びましょう。

<7>自己発見エクササイズ:友人、同僚、上司、親などの身近な相手と一緒に取り組む

書籍『ビジネスモデルYOU』の122ページと123ページに個人の資質について、ランダムに262個の言葉や短文がリストになって掲載されています。

 

信頼できる第三者と一緒にこのリストを利用して、あなたが認識している自分と、他者が見ているあなた自身をチェックすることができます。

 

個人の資質についての言葉を全部ここでは掲載できませんので、最初に登場する20個ほどの言葉を挙げておきます。

抽象的な、アカデミックな、素直な、正確な、目的達成型の、行動的な、順応性のある、冒険的な、愛情豊かな、心配症の、挑戦的な、悲観的な、高飛車な、意欲的な、相手を楽しませる、分析的な、怒りっぽい、悩んでいる、切望している、真価を見抜く

こんな感じで全部で262個の言葉が羅列されています。このリストを利用することで、自分が気づいていない部分の発見に役に立ちますね。

 

発見ですから、自分では思ってもいなかったことを、一緒に取り組む他人が指摘してくれるはずです。

 

書籍『ビジネスモデルYOU』でガイドしている取り組み方法は次のとおりです。

  • リストをコピーする。
  • 自分自身が最も自分に適していると思う資質に丸(チェック)をする。
  • 12個ほどチェックが付くまでつづける。

似ている言葉もあるので、あれもこれもついチェックしてしまいますね。
本書に掲載されているリストは、10列ありますから、それぞれの列から1個以上ということになります。

 

選んだ言葉が自分自身について何を意味しているのかを説明してみる。
例えば私が「夢見がちな」という言葉をチェックしたならば、「私は、いつもエジプトの古代文明に思いを馳せ、異文化の国々へ旅することを忘れてない。」などと書いてみる。

第三者と取り組む

  • 信頼できる友人、同僚、雇用者、家族、その他の相手にチェックしていないリストのコピーを一枚渡す。
  • あなたを表している言葉に12個かそれ以上、チェックを付けてもらう。
  • チェックつけた言葉について、なぜそれを選んだのかを相手の人と話し合う。

次のように会話を始めるといいでしょう。

「創造的」に丸をつけてもらいましたね。私のどんなところが創造的な面が出ていると思いますか?
創造的な資質は、私の中でどれくらいの重要な位置にあると思いますか?
あなたが「創造的」に丸をつけた理由は、他にありますか?

このエクササイズはなるべく多くの信頼できる相手と繰り返し行うといいでしょう。
そうすると3,4回のセッションのあと、いくつか共通するテーマが現れてきます。

 

周りから見たあなたと自己認識(最初位自分がチェックしたもの)と一致しましたか?
もしかしたら今まで気が付かなかった自分の長所などが見えてくるかしれません。
仮に、否定的な感触が返ってきても、相手に感謝しましょう。
自分自身を見つめることが目的です。
信頼できる相手と会話をすることに意味があります。

自分探しではない、自分を理解するため

これは自分探しと言われるものではありません。
何しろ自分は探さなくても、今ここに存在しています。あえてどこかに探しに行く必要はありません。

 

今の自分について、熟考することが大事です。こうしたエクササイズは、そのための道具です。「私はどんな人?」について、いくつかのエクササイズはそのための手段としての道具です。

 

自分にふさわしい仕事は何か。
自分の関心を満たし、満足感を得ることができる仕事をしたいと思うのは当たり前のことです。

 

そのために自分を見つめなおすのです。

 

どんな仕事をしていくのかを明らかにすることと同じことです。
自分の関心とスキルと能力と個性を理解しなければ、どんな仕事を何のために選ぶかなど判断や決断はできません。

 

なお、個人も仕事も貴賤はありません。周囲の目など気にする必要はありません。

わたしはどんな人?<8> 「ホランドの6つの傾向」で自分の傾向性を把握する

職業の選択上、留意すべき観点はなんでしょうか?

  • 今までに学んできたことの延長線上で選択すべきなのだろうか。
  • 自分の能力を発揮できるところを優先して選択すべきなのだろうか。
  • 知人、友人の助言をもとに判断すべきだろうか。
  • 友人たちと同じような道を選択すべきなのだろうか。
  • 入れるならば、ともかく大きな企業を選択すべきなのだろうか。

さまざまな疑問点が浮かんできますね。

 

職業選択のふたつの観点

書籍『ビジネスモデルYOU』では、次のふたつの観点が重要だと指摘しています。

  • 自分の「個性」
  • 個性に調和する「環境」

米国の心理学者であるホランドは数十年前に、「特定の職業への関心は個性の現れだ」という考えを提唱しました。今では決して目新しい主張ではありません。しかし、大切な視点です。

 

職業への関心は自分の個性を表し、職業とは自分の生き方を表現しているといえます。私たちは職業(の選択)を通じて、自分の個性や人生を表現しています。
職を失うことは自分の表現基盤を失うことになりかねません。自分の個性も人生もやり場のない空間に漂うようなものです。職を得る、働くということの意味は生きていく上で大変重要なことだということがわかります。

ホランドの6つの個性の定義

ホランドは、職業への興味を個性の表現として理解できるように6つの異なる個性の傾向(タイプ)を定義しています。(次図参照)
ホランドの6つの傾向1
私たちは6つの個性を併せ持っていて、個人によって特定の傾向性が強くなるようです。

 

前回のスキルと能力を特定するエクササイズで、チェックした表を思い起こしてください。表と図の項目が一致していますね。

 

6つの個性とは何か?

書籍『ビジネスモデルYOU』で定義されている部分を引用します。

社会的(C)

人と協力して、何かを知らせ、発展させ、助け、世話をするのを好む。人間関係/教育における能力。現実的な職業や状況を避ける傾向。
芸術的(A)
形のあるもの、ないものを使い、芸術作品や製品を創りだすことを好む。芸術的/言語的/音楽的能力。組織化された活動や慣習的な職業を避ける傾向。
研究的(I)
物理的、生物学的、文化的現象の調査や研究を好む。科学的/数学的能力。企業家的な職業や状況を避ける傾向。
企業家的(E)
組織の目的や利益を達成するため、人に影響を与え、率いていくことを好む。リーダーシップ/説得の能力。研究を必要とする職業や状況を避ける傾向。
慣習的(C)
組織化された状況で、データを整理/処理することを好む。事務/計算の能力。曖昧で、自由で、組織化されていない職業や状況を避ける傾向。
現実的(R)
主に屋外で、道具、機械、動物と一緒に働くことを好む。機械を操作する能力/運動能力。社会的な職業や状況を避ける傾向。


前回のエクササイズで、チェックした言葉の数などから類推すると、自分の傾向が理解できることでしょう。

私の場合はどんな傾向が見られるのか

前回のエクササイズの言葉の数を記入してみました。(下図)
私の個性の傾向

 

慣習的(6点)、芸術的(8点)、社会的(7点)は、ほぼ同じポイントでした。
比較的高いポイントは、現実的(11点)で、突出したポイントを示したのは、研究的(17点)と企業家的(15点)です。

 

注目すべきことは、相反することが私の個性として同居しているということです。研究的な傾向と企業家的傾向は、ホランドの6つの傾向から見ると、相反することだからです。

 

さて、これをどう評価したらいいのでしょうか。
私の現状を表すように、次のような文章を考えてみました。

活動としては極めて現実的な面が強い。

 

現実的な活動の局面で生じる問題解決のために、
該当する専門分野をその都度集中的に学習し、
現場に活かす努力を厭わない。

 

一連の活動のプロセスから、
現在自分のビジネスを起こそうとしている。

 

学んできたことを自らのビジネスに生かし、
ビジネスを組み立てていこうとしている。

 

ただし、どちらかと言うと、
研究的な傾向が強く、この傾向を存分に活かすことだ

都合のいい内容のようですが、何事も無理のないようにポジティブ、楽観的に捉えましょう。

キャリアの選択を決めているのはなんだろう?周囲の期待などより、自分の関心事にフォーカスできないだろうか

次の質問に答えられるでしょうか。
あなたの答えを少し考えてみましょう。

 

 

 

自分は何をしたいのか、を知っている?

 

 

 

 

 

即答できる人は少ないのではないでしょうか。
なぜでしょう?

 

私たちはあまりにも自分の周囲の期待や環境に合わせすぎてはいないでしょうか?
周囲の雰囲気や発する言葉を取り入れすぎていないでしょうか?

 

こんな疑問が湧いてきます。
だからすぐに言葉に出来ない状態ではないでしょうか。

 

 

 

書籍『ビジネスモデルYOU』では、子供の頃を思い出してみるエクササイズを勧めています。
子供ころから今までをみると、次のようなの状態ではないかと説明しています。

  • 子供の頃は説明する言葉を持っていなかったが、何をしたいか知っていた。
  • 子供の頃を過ぎて、自分の問いかけよりも、周囲の期待に耳を傾けるようになった。
  • 自分のキャリアや価値観は、周囲の期待によるものなのかもしれない。

こうした状態から抜け出るために、やってみる価値があるエクササイズは、「20歳以前の何処かの時点に戻って考えてみる。思い起こして書きだしてみる」ことです。

 

このエクササイズのポイントは、次のとおりです。

  • 何をするのが好きだったのか。
  • どんな活動を楽しんでいたのか。
  • 強制される前の本来の自分の気質を思い出してみる。
  • 何時間も没頭し、他のことすべてを忘れてしまうほど、幸せな気持ちにしてくれるものは何だったのか。
  • 何をしている時に時間を忘れていたのか。

下図は私たちがキャリアの選択においていろんなプレッシャー受けていることをまとめたものです。
さまざまな雑音の中で私たちは生きています。
キャリア選択のプレッシャー

 

子供時代と大人である今とはたしかに環境が大きく変化しているし、全く異なります。時どきに私たちは、環境に合わせて生きてきていることは事実です。

 

順応してきたことを否定しているわけではありませんが、いま満足感を得られないのは、なにか自分とかけ離れたことが理由になっていないかと思い当たることがあります。

 

本来の自分ではない選択を続けていたのではないか、という思いがどこかに燻っています。この感情はなかなか無くなりません。

 

書籍『ビジネスモデルYOU』では、次のように指摘しています。

  • 子供時代に熱中したことと、大人として満足することは相容れない、という思い込みがある。
  • 子供時代の情熱を、ありきたりの目標のために捨ててしまっている。
  • 自分の核となる個性、情熱、関心は子供時代とあまり変わらない。
  • 子供の頃、好きだったことに根ざした夢を、どこかに隠し持っている。

子供の頃の同級生のその後を思い返してみましょう。彼らはどんな方向に歩いて行ったのでしょうか。そして、いま彼らはどんな人生を歩んでいるのでしょうか。

 

充足した生き方をしている人を見ると、少年時代、青年時代の夢を追求し続けていたり、その時の誓を貫いていたりしていませんか。