パーソナル・ビジネスモデルキャンバスの再構築、変革。ゴア元米国副大統領の場合。

ビジネスモデルYOU』(176、177ページ)で、元米国副大統領アル・ゴア氏のパーソナル・ビジネスモデルの再構築、変革を取り上げています。
内容を概観してみましょう。


■キー・ポイント  弱さを強さに変える
■プロフィール  環境問題のオピニオンリーダー

 

<<ゴア氏の自己革新の歩み>>

 

■ 2000年の大統領選挙
50万票以上の大差で一般投票で勝利するも、実際の選挙では敗北。公職に幻滅する。(フロリダの投票集計で最高裁判所はジョージ・W・ブッシュに有利な判決をしたためだ)

 

■ 2005年、カレントTVを設立
テレビの民主化を実現。
(ユーザーの作るコンテンツを活用するビジネスモデルは、当時のケーブルテレビでは革命的だった)

 

■ 環境問題に関するファンド設立に乗り出す
環境問題に対する長年の情熱を以前にもまして燃やし、経済と環境のサステナビリティ(持続可能性)に取り組んでいる企業に投資する。

 

■ 2006年、ドキュメンタリー映画『不都合な真実』公開
地球温暖化に関するドキュメンタリー映画『不都合な真実』は、アカデミー賞を受賞する。ゴア氏のプレゼンテーションを記憶している人も多い。
政治家として、オゾンホールの脅威を多くの人に認識してもらおうと、30年近く取り組んできた。
世界各国の注目を集め、ゴア氏をメディアのスーパースターかつ環境問題のオピニオンリーダーに変えた。


本書では、こうしたゴア氏の物語を「人生の目的、展望、アイデンティティを再検討した結果」だとしています。そして、次の3つのポイントを挙げています。

  1. 本当に興味があることに注目
  2. 新しいチャネルを採用
  3. より多くの顧客の役に立つ

この3つのポイントの文字色と上記の文章と読み合わせてみてください。

 

この3つのポイントは、自分のビジネスモデルを見直す時に参考になります。特に、最初の「ほんとうに興味があることに注目」は、外せない観点です。

 

下線部の「オゾンホールの脅威」については、ゴア氏の「目標」です。本当に興味があることと目標が一致しています。環境について、関心のなかった人もゴア氏のリーダーシップに共感し、その輪が世界中に広がっていきました。

 

最初のキー・ポイントの「弱さを強さに変える」ということですが、環境問題への取組は利害関係者、既得権者が蠢(うごめ)き渦巻いています。政治力だけで解決するのは難事で、言いたいことを言うのも難しい。

 

ゴア氏が民間人になったことで、この弱みが強みなりました。

 

プロフィールの「環境問題のオピニオンリーダー」という一言は実に的を得ています。自分自身のパーソナ・ルビジネスモデルを、こうした一言で表現できると相手に鋭いメッセージが伝わっていきます。記憶に残り、決して忘れられないものです。

 

文字情報だけでは、ゴア氏のパーソナル・ビジネスモデル再構築の前と後はよくわかりませんね。
本書の177ページのキャンバスを見ると、容易に再構築と変革の様子がわかります。
下図は『ビジネスモデルYOU』からの転載です。

ゴア氏のビジネスモデル変革

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