思いを形にしていく「場づくり」という考え方

2016/11/15

 

最近出版された『場づくりの教科書』(長田英史著)という本、なかなかいい本です。

 

「はじめに」の冒頭は次の一文で始まります。

生活の中にどのような『場』をつくり出すのか。それは、生き方の問題です

「場づくり」は生き方と密接に結びついているという意味です。

 

当ブログで取り扱っているパーソナルビジネス(PBM)キャンバスの左側に、自分の場づくりが表現されているのではないかと思っています。
自分の思いを形にしていくためには、キャンバスの左側のブロックをどうしてもきちんとしたものにしなければなりません。
なにせ、すべては自分から始まるからです。

 

本では場ついて、「はじめ」にで、執筆の問題意識と動機を述べています。

 

そのなかのひとつでしょう。

自分のやり方・考え方次第で、目前にある「場」に変化をもたらすことができる(P4)

という示唆に富んだメッセージがあります。
決して、現実を離れたところからスタートするわけではない、
目前の場を理解することでも、新たな「場」が現われてくるとの強い意志を感じます。
この姿勢は、著者自ら場をつくり広げてきた貴重な経験からだと思います。

 

最初の第1章「場はたった一人の思いから生まれる」です。
この章が一番大切なところです。
第2章「ゼロから新しい場をつくるには」では、第1章を受けて、具体的な場づくりへの提案をしています。

 

購入した方は、第2章から読みたい衝動を抑えて、ぜひこの第1章を何度か読み込んでほしい。
そして第2章へ進んでほしい。

 

さて、第1章に「場づくりのキービジュアル」という節があり、こんなことが書かれていました。キービジュアルとは、鍵となる場づくりのイメージ図のことです。

 

自分の心のなかには、
やってみたいこと、実現したいこと、発揮したい自分など、「こう生きたい!」という思い
があり、この「思い」に自分が立っていると。

 

キービジュアルの図の中には自分の心、ハートが描かれ、自分がそのハートの上に立っています。

 

思いは、場をつくろうとしている人の心の中(内面)のことで、いつもなかなか表面化せずに、もやもやとしているものです。

一冊のノートを用意して自分のオフィスをつくろう

著者はまず一冊のノートを用意するようにアドバイスしています。
自分の思いをずっと書き綴り、「どう実現するかよりも、ないを実現したいのか」を
見出していくことを勧めています。
書くことは著者の言うとおり、客観的に認識していくことにつながります。
スパッと話すことも、書くことも、
様々に書き綴って思いを外側に出しておかないとわからないものです。

 

著者はまた、「ノートはあなたの場づくりのオフィス」(P44)と書いています。
素晴らしい着想です。
自分自身だけのオフィスという場が夢や希望の翼を与えてくれるようです。

 

このようなノートには、自分のなかにあるものがどのように表面化して来るのでしょうか。
例えば、次のようなものを挙げることができると思います。

 

価値観、能力、スキル、経験、夢や希望、強みや弱み、興味や関心、個性、
いつも行っていること、多くの時間を割いていること、友人や知人の存在、
何かの構想や企画・計画、物事から学んだこと、気になって仕方のないこと、
悩み、問題、気に入った写真、魅かれたフライヤー、
今の自分に役に立ちそうなできること、これからやりたいこと、
なぜそう考えているのか、友人や知人と話したこと……

 

いろいろと書き綴った文章や言葉、図や絵などに、このような内容が現われてくると思います。パソコンなどを使わずに生で書いているので、時々の感情も読み取れることでしょう。

 

まさに、自分の内面の場をつくり始めていることになります。自分の「場」の主題や方向性が見えてくるでしょう。

場とは?

ここで「場」とは何かを、また「場」について、確認しておきましょう。
だいたい「場」のイメージはつかめることでしょう。

 

本の第1章から文章や言葉を抜粋してみます。
抜粋ですから、文章や言葉の前後関係から著者の意図する意味が伝わり切れない点はご容赦ください。
(ぜひ、買って読んでみてください。)
また僕のアンテナに引っかかっただけですから、その点もご考慮ください。

場とは、主に人と人のつながり方が生み出す雰囲気、可能性(P20)
移動可能(P21)
感じとれてもほとんどが目に見えない領域(P22)
場を左右する要素は人だけでない(P22)
心のなかの思い、やってみたいこと、実現したいこと、発揮したい自分など、
「こう生きたい!」という思い(P22)
場は、つくる人の内面とつながっている(P24)
場は、つくる人の内面を反映している(P24)
場づくりとは、場の上に空間をつくる(P25)
場に、魅力を感じる他人たちと共有できる(P26)
違和感は、あなたのいるべき場はそこではないという内側からの
メッセージであり尊重すべきもの(P27)
場の選択肢、自分の求める場、自分の心のなかにある思いとつながり、
それが発揮できる場でなくては、意味はありません(P27)
居場所というのは建物というよりむしろ人間関係だということです(P33)
自分を認めてくれる人たちがいて、安心感を得ることができれば、
そこは居場所になり得ます(P34)
場は私がつくる(私が場に)つくられる(P36)
場から力をもらう(P36)
場づくりとは、自分が求める場を、新しくつくること、
始めはたった一人の思いから生まれた(P38)

パーソナルビジネスモデル・キャンバスで整理してみる

話は戻りますが、ノートに書き綴ったことを、次の5つのブロックに整理してみることができるのではないでしょうか。
5つのブロックとはパーソナルビジネス・キャンバスの左側の部分のことです。

 

キーリソース
キーアクティビティ
与える価値(どう役に立ちたい?どうためになりたい?)
キーパートナー
コスト(何を費やす?)

PBMキャンバスの左側

日々のノートの内容を、キャンバスの左側ブロックの観点から眺めていくと、きっとユニークな自分自身を再発見することになると思います。
キャンバスを見て、最初から、「自分のキーリソースは、〇〇だ」とは、一気に書けないものです。書けと言われた瞬間から手が動かなくなります。
書くぞ!と思ってもそうはいきません。
どうしても思考を広げられないものです。
オフィスとしてのノートを一冊いつも手元において、対話するのはものすごい効果を発揮します。

 

ノートに思いをいろいろなかたちで綴り、
思いをアウトプットして、
キャンバスに向かい左側が明らかになってくると、
あとは「どう実現するのか」です。

 

それはキャンバスの右側が解決の糸口を提供してくれるでしょう。

ノートにオフィスを開く

2016/11/17

ノートにオフィスを

場づくりの教科書』で、心のなか(内面)の思いをアウトプットしてみることを勧めています。
ノートにアウトプットします。
ノートのことを自分のオフィス、と表現しています。

 

「場」づくりや「起業」などを考えていく際に、自分の思いをビジネスモデルキャンバスに描いていくを勧めていますが、ぼんやりした思いを、オフィスをノートに見立てて書いてみましょう。これはいいアイデアです。

 

自分は何を思ってるのか、何を求めているのか、何をなそうとしているのか、などをはっきりさせていくためです。
そして、何を実現したいのかを見出していくわけです。

 

ノートを使い始めるタイミングはいつでもいいわけですが、特に、自分の方向付けが見えないようなときなどが効果的でしょう。
行動を開始する前に、実現したいこと、方向付けを確認していく時にも有効でしょう。
パーソナルビジネスモデル・キャンバスのような実現したいこと、方向付けなどを俯瞰できるようなダイアグラムも必要だと思います。

 

さて、ノートを使う意味について「場づくりの教科書」では次のように書かれています。

紙の上に、自分のやりたい音を探ったり、整理したり、プランを練るために場を開きます。また、情報発信を利用して、仲間を見つけていきます。(P42)

自分のぼんやりと出向かんでいる思いを外に出すことと、それを眺めることです。このノートはあなたの場づくりのオフィスです。(P44)
心のなかを見つめている状態と、ノートにアウトプットされたものを眺めている状態では、大きな違いがあります。自分の中にそういう思いがあることを、客観的に認識できます。(P45)
ノートと自分の内側に向き合う時間を大切にして、充実させていってください。(P45)


ノートの使い方として、どんな内容でどんな書き方をすればいいのでしょうか。書籍では細かなことは書いていませんが、次のようにガイドしています。

あなたのつくりたい場や活動のイメージが湧いてきたら、ノートにどんどん書いていきましょう。整然と記録する道具としてではなく、思考し、前に進むための道具として、1ページに1テーマくらいのつもりで、どんどん使っていきます。まだ妄想段階のアイデアも、こんな感じはどうかな……とノートに書いてみます。

まだ自分の場のイメージがぼんやりしている人は、気になる本を読んだら読書メモをノートにつくります。関連するセミナーに行ったら、その内容や感想を書きます。セミナーのフライヤーが素敵だなと思ったら、貼り付けておきます。イラストでも構いません。(P44)


このようにつくっていったノートは、自分の場づくりの原点、源泉ですから、いつでも迷ったときなどに戻ってエネルギー補給する空母のようなものです。

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