考え方のコツを身につけて、豊かで丁寧な仕事と生活を
2016/10/13
あなたは毎日すっきりと仕事に取り組めていますか?
マイペースで、環境に振り回されずに、前に進めていますか?
少しでもしっくりこない仕事を続けているなら、ぜひこの本を手に取ってみてください。
仕事や人生に向き合う「常識」を理解することにつながることでしょう。
仕事や人生に向き合う「常識」
この常識は「○○術」と言われたり、「○〇のコツ」と言われたりします。
常識と表現しましたから、当たり前ということです。
最近は当たり前と思っていることがそうでない場合が多くて、戸惑うこともあります。
そういう時代ですから、常識がたいそうなノウハウのようにもてはやされるのかもしれません。
環境変化が激しく、技術革新の進展が速い今の時代だからこそ、当たり前の考え方、
物事の捉え方の必要性が高まっているともいえます。
見事にそのニーズに答えてくれているのが本書だと思います。
『考え方のコツ』松浦弥太郎著 朝日文庫
著者は『暮らしの手帳』の編集長です。
この手の本には、実際のビジネス現場から距離のある方の本がたくさんあります。
著者はビジネス現場を持ち、悪戦苦闘を楽しんでいるかのようです。
そのようなキャリアを積み上げてきているからこそ、聞くに値できる内容だと思います。
コツはなかなか教えてくれない。
学校ではもちろん教えられない。
社会の中で煩悶しながら、様々な人との出会い、身に付いていくものです。
ちょっとでも油断して若い時を過ごすと、このコツを身につけることなくして、
惜しいと思う人生を味わうことになります。
コツはおいしい料理のスパイなのかもしれません。
なくてはならないものです。
検索してすぐに探さず、要約的な情報を遠ざけて、じっくりとこの一書を味わってください。
本書の構成を紹介します。
■思考術
<何でも知っている人ではなく、何でも考える人になる>
■想像術
<面ではなく、たくさんの点をイメージする>
■コミュニケーション術
<群れの中で群れに飲み込まれない泳ぎ方とは>
■時間管理術
<時間に好かれ、時間を見方につける>
■グローバル術
<メンバーではなくプレイヤーとして働く>
全部で35編の「考えるコツ」を提案しています。
目の前のことにしっかり向き合う
想像術の中に、「目の前のことにしっかり向き合う」という一文があります。
著者の現在は、「こうなりたい」「こうなろう」と決意してやったことではないと言います。
「なりたい自分」を想像して、きちんと計画してコツコツやっていくより、今、目の前にあることをしっかり努めて、流れに身を任せた方がうまくいくと僕は思っています。
ビジョンを持ち、計画どおりに努力するのも一つの方法ですが、
ぱっとしない結果に終わる気がします。
なぜなら、自分が想像した以上のことができなくなってしまうためです。
「今、自分が社会のためにできることは何だろう?」
「今、自分のできることで、人に喜んでもらえることは何だろう?」
この二つの質問を、起きることすべてに投げかける。
出合ったこと、出会った人すべてに対して想像してみる。
今、自分の目の前のことにできる限りの力を尽くす。
そうすると出会いから化学反応が起きます。
その連鎖によって、未来は広がっていきます。
僕も仕事柄そうですが、未来のあるビジョンや目標に焦点を定めて、計画を立ててことを進めよう、というタイプです。
しかしながら、このビジョンや目標を立てるのは、それ自体が目的になってしまいがちです。
目の前の現実から目をそらしがちになることもあります。
ビジョンや目標を否定しているわけではありません。
それに縛られて、足元が不安定であってはならない、こう言っているような気がします。
パーソナルビジネスモデルでも、未来にばかり目をやっているわけではありません。
今の自分はどんなリソースを持ってるのかという現実をきちんと直視します。
そこからすべてが始まります。
突然、サイエンスフィクションのように未来に行くタイムマシンはありません。
あっという間に遠くの違う場所にワープはできません。
日々の積み重ねがエンジン、駆動力になっているはずです。
良き生活習慣を。そして2つの質問に答えてみる。
著者はそのことを、「良き生活習慣」と言っています。
具体的には、
早寝早起き、十分な睡眠をとる、決まった時間に食事をする、体にいいものを食べる、自分の心と体を休息させる方法を知る、といったことです。
これが前提だと。
「今、自分が社会のためにできることは何だろう?」
「今、自分のできることで、人に喜んでもらえることは何だろう?」
この二つの質問を、自分に投げかけてみると、
やらなければならないことがたくさんありますね。
パーソナルビジネスモデル・キャンバスに描くのは、
この二つのクエスチョンに答えていくことでもあります。
4つの時間割で仕事を支配する
2016/10/16
時間割というとどんなイメージが浮かびますか?
僕は、学校の時間割をまず思い出しました。
次に、起床から就寝までの時間帯別の行動です。
これから紹介するのは、『暮らしの手帳』の松浦弥太郎編集長の時間割についての考え方です。
学校などの授業の時間割とビジネス(仕事)では、学習科目のように
はっきりと区切ることができないので、思うように時間の管理ができません。
毎日の仕事ではどうしても自分中心に動かすことは難しい。
仕事において、冒頭のような時間割の概念を持つことは至難の業です。
ところがうまい方法があったものです。
松浦編集長の考え方です。(『考え方のコツ』松浦弥太郎著 朝日文庫 )
時間割に4つの時間軸を持つ
4つの時間軸の考え方は次のとおりです。
- 今日すべきことを決めた TODAY
- 一週間にすべきことを決めた WEEKLY
- 一カ月ですべきことを決めた MONTHLY
- 三カ月ごとにやるべきことを決めた SEASON
プラスアルファで、一年に何をやるかという YEAR 。
作り方は「やりたいこと」、「すべきこと」すべてのリストをつくり、
上記の4つに割り振っていくだけです。
下図のようなイメージですね。
後は常日頃眺めては更新していことになります。
松浦氏は、この4つを名刺サイズの白紙カードに書いて、利用しているそうです。
このカードを「情報カード」という。
サイズが名刺大ということは、ちょうどいいのかもしれません。
いちいち手帳を出さずに、持ち運びもポケットの中で済み、取り出して見やすい。
情報量も適度ということでしょう。
それぞれの特徴を列記しておきます。
TODAY :
仕事をしながら考えるリスト。リストは主に実務作業なので、毎朝目を通し、書く。
つまり、毎朝更新して、ぐちゃぐちゃになったら書き直す。
ポイントは、時間配分で、30分、あるいは1時間、2時間でやるといった具合で取り組む。
何時までにとか。
WEEKLY :
今週きちんとできているかのチェックリストに近い。
何曜日までにやるなどを明確にする。
MONTHLY :
ほとんどプロジェクトリスト。
SEASON :
プランニングリストに近い。
情報カード活用ポイント
- 手で書くことで、意識にインプット
- 変わるので、そのたびに何度も書き直す
- カードが見にくくなったら新しいカードに書き写す
- 先のことがイメージできる
- 頭の中が整理される
- 自分が今どのあたりを歩いているのかわかってくる
松浦氏は次のように語っています。
今日の仕事を知り、一週間、三カ月単位で管理していれば、自分が仕事を支配できます
松浦氏の基本的な一日
松浦氏の通常の一日を知りたいですね。
参考にしましょう。
本書から抜粋すると次のようになります。
朝食後に、1時間くらいの思考の時間。7:00 出社、ウォーミングアップ
7:30 〜 8:00 メールチェック、返信
9:00 〜 12:00 実務作業
(最初に手を付けるのは簡単なリスト項目)
(段々と難易度の高い仕事に着手)
(1時間ごとに、数分でも休む)
13:00 昼食(1時間ずらす)
14:00 〜 16:00 打ち合わせ、面会
16:00 〜 16:30 メールチェック(1日に2回だけ)
16:30 〜 17:30 外出の時間(あるいは予備時間)
主に、「9:00 〜 12:00 実務作業」で、TODAY カードを使っているわけです。
情報カードのポジション
4つの情報カードを何らかの軸に位置付けてみましょう。
縦軸に重要度、横軸に緊急度としてみましょう。
おおむね下図のようになると思います。
■ 重要度が高く、緊急度も高い領域には、
「TODAY」、「WEEKLY」が位置づけられるでしょう。
■ 重要度が低く、緊急度が高い領域には、
「MONTHLY」。
■ 重要度が高く、緊急度は低い領域には、
「SEASON」、「YEAR」。
よく未来の資産を築く領域とも言われますね。
上記の3つの領域は、分断されているわけではなく、
つながりがあり、未来の原因づくりになっていきますね。
行動の背景には価値観がある
また、これらの情報カードのバックグランドには、
あなた自身の仕事や人生に対する価値観があります。
松浦氏でいえば、「正直」「親切」「笑顔」という価値観です。
この3つの価値観で、ご自身のメッセージを発信し、
人や仕事に取り組んでいくという姿勢です。
このような価値観は「TODAY」、「WEEKLY」、「MONTHLY」、「SEASON」、「YEAR」に対して、どのような所作、振る舞いになるか投影されていくわけです。
もし、重要度も緊急度も低い領域のリスト項目があるとすれば、
それはほとんど意味のないものでしょう。
パーソナルビジネスモデルをブラッシュアップ
こうして見てくると、シンプルな情報カードの活用は、
私達の全体を見通していくコンパクトな武器にもなってきます。
あなたのパーソナルビジネスモデルを構築し、機能させていく上で、
日々の目標達成、アクションのフィードバックに使えるツールと言えます。
僕の価値観は、「晴朗」「誠実」「冒険心」です。
あなたは?
このようなツールが自分にフィットしているならば、
迷わず採用して、使ってみて、
自分の価値観をパーソナルビジネスモデル・キャンバスに描き込んでください。
一味違ったキャンバスを描くことができるでしょう。
僕の仕事のルールについて
2016/10/19
「人の前を灯せば、自分の前も明らかになる」
「人の不幸の上に、自分の幸福を築かない」
「理念を追求すれば、ビジネスは構築できる」
この3つが僕の仕事や人生を生き抜いていく上で大事にしていることです。
様々なことに向き合う基本的な姿勢です。
うまくできないときもあります。
このようなことは価値観、理念、モットー、行動規範などと言われます。
そしていつも「晴朗であれ、誠実であれ、冒険心を持て」と心がけています。
自分で決めたことに反した行動をすると、後味が悪い。
成果がでなくても、守り通したい。
さて、松浦弥太郎氏は、「生涯のお守りになるルール」というエッセイで自分のルールを紹介しています。
『松浦弥太郎の仕事術』から。「飾らないこと」
「真似て学ぶこと」
「嘘をつかないこと」
「約束を守ること」
「自立すること」
「欲張らないこと」
「心を込めること」
仕事や人に接していくときの態度や戒めですね。
なぜ、こうしたことが大事なのか?
手っ取り早い成果主義に走らないためです。
学習(勉強)したことが身に付かなくなるからです。
十年たったときに、自分のキャリアが薄っぺらだと気付くからです。
味わい深い人間からほど遠くなるからです。