あなたの価値を確認する
2016/5/5
会社(組織)で働いている場合、自分自身の「価値」を確認する方法があります。ここで言う「価値」とは、定性的なことを除いて考え、数量的に判断できることを指します。
企業(組織)にはさまざまな情報の流れ(入出力)があり、売上やコストに影響をもたらします。また、各組織(部門)では役割を果たすべく総力を挙げて、企業価値を高める活動を休むことなく継続しています。
その結果が、あなたが毎月もらう給与にもすぐにではありませんが、波及してきます。しかし、予期せぬ環境変化もあります。あるときには業績に影を落とし、企業の存立さえ危ういものしてまうケースもあります。組織に及ぶ影は、あなた自身にも及び、明日の仕事の有無にもかかわってきます。
給与とは
さて、あなたの給与について確認しておきましょう。
給与は企業が顧客の支持(売上)からさまざまな経営上のコストを差し引いて、あなたの手元に届きます。あなたのもらっている給与から、どのくらいの売上(顧客の支持)が必要かを確認してみよう。いまのところ問題もなく、給与が支給されているならば、顧客の支持はきちんとあり、あなたはあなたの立場で企業価値の向上に貢献していることになります。そして、企業側はあなたにその価値があるかを見ているわけです。
あなたは組織のビジョン実現のために、目標達成のために寄与しなければならないし、あなたはどんな価値を組織の中で提供し続けるのかを常に意識して、働かなくてはなりません。
公式は次のとおりです。それほど単純ではないと思いますが、目安として使ってみてください。
(問)会社はあなたに25万円の給与を払うために、追加でどれだけ売りなければならないでしょうか? 福利厚生費は給与の25%、粗利益率を40%とすると…。
給与+福利厚生費…など
=「すべて上乗せされた」給与(給与関連総額)÷ 粗利益率
=必要とされる(追加)売上金額
給与の何倍の売上が必要か
経験則から、多くの経営者は会社が支払う給与の倍の金額を売り上げる必要だと考えています。業界や売上総利益率によって、経験則からくる必要な売り上げは、給与の3倍だったりします。
(答え)250,000円 × 125% ÷ 40%=781,250円
この場合、781,250 ÷ 250,000 = 3.125倍 になります。
売上総利益率(粗利益率)が高いほど必要な売り上げは少なくなります。粗利益率が20%だとすると、上記の例では、1,562,500円/月の売り上げがに必要になります。
このような意味で、あなたの会社やビジネスの売上総利益を把握しておきましょう。簡単に値引きをして粗利益率を落としたり、製造や仕入れコストの管理を怠ると、とんでもないことになってきます。
業界別の売上総利益(率)とは?自分とどんな関係がある?
2016/5/6
前回の記事であなたがもらう給与総額にはどんな意味、価値があるのかを書いてみました。
給与総額が何によってもたされるのか。それは売上でした。売上(販売)力は、いかに顧客の支持を得ているかの指標であり、企業が生み出した価値でもあります。それは組織を構成しているあなたの価値でもあります。
給与総額を売上総利益率で割り算することで、あなたの給与を導くための必要売上高を求められるわけです。
売上総利益率とは
では、「売上総利益率」とはなんでしょうか。
次の説明は、経済産業省の「商工業実態基本調査」のなかのものです。
中小企業の売上総利益率
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syokozi/result-2/h2c5kaaj.html
(注)売上総利益率は、売上総利益(粗利益)を売上高で除したもので、売上高に対する利幅を示す。この比率は、企業の収益性を判断するための基本的な指標の一つである。この比率が高いほど収益性は高くなる。
「売上総利益」(gross margin)とは、売上高から売上原価を差し引いたもの、一般には粗利(あらり)と言われています。
商工業実態基本調査では、製造業、卸売業、小売業について「売上総利益率」をまとめています。あなたの企業の属する業界ではどの程度でしょうか。
業界別の売上総利益率
前回記事で、売上総利益率を40%で必要売上高を求めましたが、これはかなり収益性が高いことになります。
業界別にみると、中小企業の平均値は次の順になります。
小売業29.1% > 製造業25.9% > 卸売業15.8%
サービス業については、中小企業の経営指標(概要)〜中小企業経営調査結果〜でみると、業種別にかなりばらつきがあります。
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/keiei_sihyou/h11/07_f.html
「中小企業経営調査結果」で、売上総利益率の平均値を見ると、次のようになります。
- 小売業:39.0%
- 製造業:24.9%
- 卸売業:22.0%
「商工業実態基本調査」と比べると、いかがでしょうか。統計の諸条件、環境などの違いがあると思います。
売上総利益、営業利益などの経営指標は他人事ではありません。
あなたの会社の損益計算書で、自社の売上総利益率を理解しておく必要がありますね。
どんな数値が自社にとって、命運を分ける数字なのかを理解し、その推移をウォッチして、自らの行動がどうあるべきか考えていかなくてはなりません。