キャリア・アンカーとは、どんな意味だろう
2016/7/5
キャリア・アンカーとは「どうしてもこれだけは犠牲にしたくない」
キャリア・アンカーという言葉があります。
この言葉はシャインが使っている言葉で、著書のタイトルでもあります。
今回の記事では、このキャリア・アンカーについて理解を深めておきましょう。
理解を深めるために、金井壽宏氏の『キャリアの学説と学説のキャリア_0907_1』というレポートから都度引用します。金井氏はシャインとは師弟関係を結んでおられます。
キャリア・アンカーとは、仕事が変わっても、会社ごと移っても、そのひとがどこでどのような仕事をしようと、「どうしてもこれだけは犠牲にしたくない」ほどに大切にしているもので、内容的には、次のようなカテゴリーがある(Schein 1990)。
- 専門を極めること
- 人びとを動かすこと
- 自律・独立して仕事ができること
- 安定して心配なく仕事ができること
- 絶えず、企業家として(あるいは、企業家のように)なにか新しいものを創造すること
- だれかの役に立ち、社会に貢献できること
- 自分にしかできないことに挑戦し続けること
- 仕事と家族やプライベートのバランスがとれるライフ・スタイルを実現すること
このようにシャインは8つのカテゴリーをキャリア・アンカーとして定義しています。
金井氏は、キャリア・アンカーについて次のように述べています。
キャリア・アンカーがクローズアップされるのは、キャリアの節目で戸惑ったときに、自分も内なる声に従った心ある選択をするためである──このため、その学説は,内的キャリアを扱っているといわれる。
内的キャリアと外的キャリア
ここで、内的キャリアという言葉が登場します。そして、次のように解説しています。
キャリアを旅にたとえるなら、内的キャリアは、旅人の心の状態や充実感に関連し、外的キャリアは、旅路の風景の特徴にかかわる。内容的には,内的キャリアには,
- 達成の誇り
- 内発的な職務満足
- 自尊心(self-worth)
- 仕事の役割や制度へのコミットメント(積極的なかかわり)
- 充実をもたらす関係(それ自体に価値・意味のある関係)
- 道徳的満足感
が含まれ、
これに対して,外的キャリアには
- 地位やランク(階層上の位置)
- 物質的成功(財産,所有物,収入)
- 社会的評判
- 名誉,影響力
- 知識やスキル
- 友情やネットワークのコネ(資源や情報を得る用具的関係)
- 健康と幸福
が含まれる。
自己実現や個性的な生き方がいくら大事でも、環境に適応できていないと幸せにはなれない。もちろん、逆に、いくら地位、名誉、財産にめぐまれても内面的に空虚であれば、それも困る。だから、外面的な成功がキャリアのすべてだと主張しているわけではない。両方を組み合わせて複眼で見る必要性を説いているのであった。
キーリソースと内的キャリア
キーリソースは、内的キャリアを源泉として、いままでに獲得してきた外的キャリアとも言えます。外的キャリアばかりに関心を寄せるのではなく、内的キャリアも8つのキャリア・アンカーとともに、意識するようにしましょう。
成功したといえる指標は、この両方と言えます。パーソナルビジネスモデルが成立するとは、内的キャリと外的キャリアの両方が、程度の差こそあれ、満たされ、8つのキャリア・アンカーが達成されていることです。
キャリアデザインとは
さて、キャリア・デザインという言葉にも金井氏は言及しています。
キャリア・デザインという言葉には、節目で見えてきた選択肢から慎重に選ぶという意味合いもあるが、同時に、選択肢をデザインしているということは、迷っている、戸惑っているということでもある。
だから、もしだれかが、いつもキャリアをデザインしていたら、不都合なことである。デザインは節目だけでいい。同様に、ドリフトにも、「流されている」「漂流している」というネガティブな意味に加えて、「流れの勢いに乗っている」というポジティブな意味もある。
節目で決めた(デザインした)あとは、いつまでも、この選択でよかったのかなどとくよくよ悩むよりも、勢いに乗るという意味でドリフトすることが大事だ。だから、節目では、キャリア・デザイン的発想、したがってキャリア・アンカーなどで自分を知ることが大事だが、節目と節目の間では、クランボルツが説くように、偶然をうまく活かすべく、迷うより活動する、ここで使った言葉では、「勢いに乗る」という意味でのドリフトが大切になってくる。
デザインは、確かに試行錯誤の連続です。しかも、正解がありません。
デザインを行動に移す
そこで、いつまでもパーソナルビジネスモデルをデザインしている(描いている)のではなく、ある程度固まったら、行動に移してみることが大事です。行動に移してはじめて、マーケット(市場や顧客)の反応として、フィードバックがあり、自分の描いたパーソナルビジネスモデルの手ごたえを感じることができます。
自分のデザインのレベルも感じ取ることができるはずです。
ここでは「偶然」という言葉を使っています。
デザインしていく中で、自分自身の物事を感じる内的センサーが研ぎ澄まされ、いつもと同じ、あるいは今までも遭遇したであろうできごとにも、なぜか、敏感に反応したりすることで、自分自身の将来を決定づける選択をしていることです。
適切な機会の選択であるかどうかは、なかなかわかるものではありません。そのときに選択しなければ、もちろんその先に、何が起きるかもわかりません。行動に移し、選択を続けていく過程で、培われてくるものもあります。
今の自分自身を信じて、勇気ある一歩を、踏み出すことの意味は大変に大きい。
いま選択している時点では、単なる「点」であるかもしれませんが、やがて時間が経つと、過去の「点」と「点」が結ばれ、線になり、面になっていき、現在の自分自身になっていくというイメージです。
また、将来に対して、ワクワク感が充実し、時がたつのも忘れて、没頭するような自分を見出すことです。
後になって、出来事の意味がわかるものです。それが人生の醍醐味でもあります。
デザイン思考と行動の両輪で、つよく自分自身の今と将来をイメージし、荒れ狂う大海原に遭遇しても、流されないように、しっかりとアンカーを打ち込み、方向(方角)を見据えて、自分らしい人生を生き抜くましょう。
仕事と職業の理解
2016/7/6
仕事は、人を助けること
仕事は、人を助けること。
パーソナルビジネスモデルの考え方ではこのように定義します。
つまり、仕事を、有給の職業や会社勤務よるものだけではなく、ボランティアやライフワークとして続けている文化活動、社会活動などを含むことになります。
職業とは
職業といった場合、一般的には労働市場に存在する職業を想定します。ですから、起業する際には、そのビジネスは現在の労働市場に存在するのか、市場の隙間でまだ萌芽の状態であるのかを見極めることが必要になります。なぜなら、存在して成熟している市場なのか、ニッチ市場なのかで、マーケティング方法が異なるからです。
厚生労働省篇職業分類では、職業を次のように定義しています。
職業とは、生計維持のために何らかの報酬を得ることを目的とする継続的な人間活動あるいは一定の社会分担もしくは社会的役割の継続的遂行。
このような観点はあるとして、自分にとって、仕事や職業の理解は、自分自身の興味・経験・能力・価値観というものの理解と密接に関連していますので、選択しようとしている仕事(職業)の選択では、属する産業、雇用・経済・社会の情勢について、広く理解しておくことが大事になります。例えば、土・日・祝祭日の休みは流通業では難しく、人手不足感のある業界ではシフト勤務などが一般的で、休日はまちまちであることを理解しなければなりません。
自分が選択しようとしている職業ではどのような理解が必要でしょうか。起業する際にも承知しておかなければ、市場とのミスマッチが発生して、過剰なストレスを感じたり、業績に影響してきます。
職業情報の具体的内容とは
では、以下で職業情報の具体的内容を確認しておきましょう。
仕事内容(どのような仕事か)
仕事の内容
作業環境と条件
その職種がある職場
仕事の責任・厳しさ・やりがい
適合する興味分野・労働価値観
※ 「適合する興味分野・労働価値観」では、自分自身に適合しているかを判断します。
就職するための方法と要件(就職するために求められること)
就職するための経路・応募方法
就職するために必要な資格
就職するために必要な要件(能力・知識・スキル・適性・行動特性など)
就職後に必要な要件(能力・知識・スキル・適性・行動特性など)
就職するための教育訓練
職場体験の機会
※ 自分の「興味・関心」「価値観」「能力」が適合しているかを判断します。
職業別の労働条件・労働環境(どんな待遇か)
賃金
労働時間・休日
雇用形態(正社員・パート。契約社員・派遣労働者など)
雇用の安定性(定着率・勤続年数・平均年齢など)
職業別労働力需給の需給状況(就職の困難度)
労働力過不足状況
募集・応募状況
雇用の見通し
追加情報
詳細情報源(照会先)
関連職業
情報の入手先
上記のような情報はどこから入手可能でしょうか。
厚生労働省編職業分類(平成23改定)厚生労働省編職業分類の内容をご確認できます。
大分類・中分類・小分類・細分類と進むと、PDFファイルで「どんな職業か」「就くには」「労働条件の特長」「参考情報」などの情報を取得できます。
職業能力についての情報収集先
厚生労働省編職業分類に対応しているものでは、「職業能力評価基準」があります。
(関連する情報では、ビジネス・キャリア検定(【中央職業能力開発協会】。社員教育にも利用されている)
業種から選択する方法と、職種から選択する方法があります。
それぞれの職種について、「概要」「仕事内容」「求められる経験・能力」「関連する資格・検定」などがWord文書で提供されています。
また、職務遂行に必要な能力の単位ごとに、レベルを分けて、必要な能力について、「職務遂行のための基準」「必要な知識」などをExcelファイルで提供しています。
客観的に、自分の能力がどの程度選択する職務に対応しているかを確認してみることができます。
何かひとつ、自分をひきつける職業について、調べてみることをお勧めします。人生の大半は仕事に費やされます。仕事は自分の人生の表現でもあります。仕事という市場をしっかりリサーチしてみましょう。
パーソナルビジネスモデルキャンバスとジョブ・カードの関連性
2016/9/10
パーソナルビジネスモデル(PBM)のコンセプト
パーソナルビジネスモデル・キャンバス(PBMC)は9つのブロックで構成されています。
この9つのブロックはそれぞれに関連性があり、全体として整合性のとれたビジネスモデルを俯瞰できます。
ビジネスモデルを変更(モデルチェンジ)する場合には、どこのブロックに影響があるのかを全体を把握しながら調整していきます。
例えば、顧客ブロックを変更すると、顧客に与える価値も変更しなければなりません。
さらに、リソース・ブロックでは、そのためにどんなリソースを用いるのか、アクティビティ・ブロックの価値を生み出す主な活動にも変更が生じてきます。
また、顧客によっては価値を伝える手段も異なる可能性があります。
どこかのブロックの変更は、特に顧客の変更は、このように9つのブロックに影響を与えます。
このことは、大変重要なことを示唆しています。
働き方などを変えていく場合、
気持ちだけではどうしても整理の付かないものがあるということです。
自分自身が本当に納得いく方向付けが行われないと、第一歩が踏み出せないものです。
この点、自分自身を深く理解して、全体を方向付けるというPBMの考え方に特筆すべきものがあります。
PBMは個人を事業体として把握し、ジョブ・カード(JC)はあくまでも個人に着目する
PBMは、個人をひとつの事業体としてとらえるという特徴があります。
個人のキャリア・アップを考えていく際には、他にも様々な手法や考え方があるでしょう。
ここでは、ジョブ・カード(JC)とPBMCの考え方を比較してみたいと思います。
JCにつては、以下のサイトに詳しく解説されていますので、ご確認ください。
ジョブ・カード制度≪総合サイト≫ http://jobcard.mhlw.go.jp/job_card.html
JCには、個人のワーク&ライフの充実のために、生涯をとおして活用していくという視点があります。求職中、在職中、転職の方向付けにも活用していこうとするものです。
個人の持つ可能性に肯定的で、そこに重きを置いてキャリア・アップの方向付けしようということがうかがえます。自分自身を理解したうえで、キャリア・アップを図ろうということです。
こうした考え方を「自己理解」という言葉で表現しています。
個人を重視する考え方は、PBMと同様です。
JCでは同時に、自分の興味・関心のある職業については「仕事理解」ということで、職業に関する業界、働き方の特徴、必要とされるスキルと能力などを調べて、自分の適性と自分の取り組み意欲などを確認します。
自己と仕事の理解の次に、仕事に就くためにどんなことが必要なのかを検討して、目標設定し、本格的に行動に移していきます。
ジョブ・カード(JC)の代表的な3つの様式
さて、JCには以下のような代表的な3つの様式があります。
- 職務経歴書シート
補完するものとして「仕事の振り返りシート」
- 資格・免許シート
- キャリア・プランシート
この3つのシートから、自己理解を深めて、キャリア・アップの方向付けを決めていきます。
上記のシートの@とAの2つから、
自己理解として、自分の興味・関心、働くことの価値観、スキルと能力をピックアップしていきます。
自己理解を深めていくためのアドバイスは以下のとおりです。
- 自分の適性、能力(スキル・知識等)を把握していますか。
- 求職活動や仕事をしていく上での自分の強み(長所)を把握していますか。
- どのような職業に興味、関心を持っているかを把握していますか。
- 自分自身は仕事に何を求めているか把握していますか。
- 求職活動や訓練の受講にあたり、自信を失っていたり、過信したりしていませんか。
また、シャインの「3つの問い」を付け加えています。
- 自分は何が得意か(能力)
- 自分はいったい何をやりたいのか(興味・関心)
- どのようなことをやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか(価値観)
自己と仕事の理解深め、何のために何を行っていくのか、具体的に目標設定をして、今後の方向付けをします。この内容が、キャリア・プランシートに記述される文章に反映されてきます。
あとは、目標達成のための行動と、フィードバックによる修正・変更です。
仕事とその環境にどのように適応していくか
ただ、ひとつ念頭に置くことがあります。
仕事とその環境にどのように適応していくかということです。
原因が自分自身なのか、環境変化によるものなのか、どちらにしても様々に変化する
現実に上手に向き合えないことはよくあることです。
このときも、今までに見つめてきた自己と仕事の理解を、再度確認して、自分の振る舞い方に意味を見出すことが必要になります。
現実に対して、視点、観点を変えると今までと違う現実の捉え直しができます。
「見方を変える」と言われますね。
袋小路に入ると、なかなか抜けることができません。
このときに、体験や経験が役に立ってきます。
いつものことが次の飛躍について、気付きを与えてくれることがよくあります。
また、人との出会いも素晴らしいきっかけになります。
自分自身について【棚卸】しましょう、と言われるのは、過去や現在について、
この気付きを得るためにのものと推察されます。
いままでのことについて、見方を変えることで、自分の可能性を見出していくきっかけを求めるわけです。
PBMにおける自己理解のためのエクササイズ
このような考え方は、キャンバスではキーリソースのブロックに相当します。
『ビジネスモデルYOU』では、JCのような様式は使いません。
以下のエクササイズをヒントにキーリソースの手がかりとします。
- ライフホイールを描いて、現在の興味・関心を確認する。
- 私はどんな人?10枚のメモ用紙を用意して、自分自身のを記述してみる。
- 自分自身にはいろいろな役割があり、役割ごとにキャンバスを描いてみる。
- ライフラインを描いて、主にスキルと能力を特定し、個性の傾向性を知る。
- 目的宣言文を書いてみる。
- カバーストーリーを書いてみる。
- 真新しいじぶんを想像してみる。
JC流に言うと、これらのエクササイズをとおして、自己理解を深め、自分の興味、個性、スキルと能力を明確にしていきます。
仕事の中で、この3つの要素が満たされたとき大きな満足が得られるからです。
おおざっぱですが、PBMとJCで使用されるエクササイズや様式のポジションを図にすると、次のようになります。
こうしてみると、PBMの方がたくさんのインプットとアウトプットを求められています。
このように多くのエクササイズがありますが、よく使っているは、ライフホイールとライフライン描画(出来事リスト、スキル能力チェック表、ホランドの個性の6つの傾向図)、目的宣言文の部分です。
あとのエクササイズは、臨機応変に取り扱うようにしています。
自分がわからない?
2016/9/19
いったい自分はどんな人なんだろう?
仕事に行き詰ったり、転職を考えたり、
思わぬことから失業を余儀なくされたり、
やる気がわいてこなかったり、
病に向き合ったり、失恋したり、
家族とうまくいかなかったり、
これから先、どうやって生きていこうか。
こんなときに、
- 自分は何をやりたいのだろう、
- 自分は何のために生きているのだろう、
- 自分はそもそもどんな人なのだろう、
- 自分にはどんな適性があるのだろう、
と思ってしまいます。
悩んだことのない人はいないでしょう。
長期的戦略で前へ
焦らずに、じっくりと、これからのことを冷静に考えましょう。
こんな図を参考に長期的戦略で前に進みましょう。
自分の年齢から、手遅れだと思わないでください。
ケンタッキーフライドチキンの創業者は、50代半ばからのスタートでした。
個性、持っているスキルや才能に当然違いがありますが、自分らしい生き方は必ずあると信じます。
日誌(日記)を付けてみよう
さて、信頼できる、何でも話せる人がそばにいませんか。
知人、友人、同輩、朋輩、先輩、親友、同志、先生、師匠。
誰かと語り合えるといいですね。
何回でも語り合えるといいですね。
そして、その都度上記のテーマについて、まとめておきましょう。
自分が思っていることを、「日誌」に書いておくことお勧めします。
4行日記風に書いてみるといいでしょう。次の記事を参考にしてください。
記事カテゴリー『キーリソース』
■タイトル■目標達成の3つのステップと4行日記
自分を客観的に表現してみる
また、自分を客観的に表現しておくために、
- 職務経歴書、履歴書(参考サイト:履歴書・職務経歴書の書き方 https://www.hellowork.go.jp/member/career_doc01.html)
- 資格・免許取得内容
- 訓練や研修受講とその学習内容
などを書き上げてみましょう。
ここで重要なことは、職務と今までの経験の中で、
まずは仕事では、
- どんな仕事内容なのか、
- その仕事の中で充実していた仕事は何だったのか、
- その仕事はなぜ充実していたのか、
下図のようなフォームを使ってみてください。
次に経験や出来事では、上図のようなフォームでいいと思います。まとめてみましょう。
- どんな経験(出来事)なのか、
- その経験(出来事)の中で充実していたことは何だったのか、
- その経験(出来事)はなぜ充実していたのか、
を言葉や文章で表現しておくことです。
なぜならば、自分の考え方や特徴があぶり出されてくるからです。
自分が自分をわからないのではなく、言葉などで表現されていないだけです。気が付く作業をしていないだけです。
どこかへ行って探す必要もありません。
いま、ここに自分がいます。
自己理解と仕事理解と目標設定、そして…計画、行動へ
2016/9/20
次の図をご覧ください。
これはキャリアコンサルティングなどのプロセスを大雑把に示しているものです。
<自己理解:興味・適性・能力などの明確化>
今、自己理解はできているだろうか。
自分の「興味・関心」、「働くうえでの価値観」、「スキルと能力」を把握できているだろうか。
<仕事理解:労働市場(産業、業種も)や起業に関する情報収集>
望む仕事像がはっきりしているだろうか。
その仕事についてしっかり情報収集できているだろうか。
求められるスキルや能力、キャリアルートなどを把握しているだろうか。
希望の仕事に納得しているだろうか。
<意思決定・目標設定:今後の仕事生活のデザイン、目標の明確化に係ることを決める>
では、ターゲットの仕事ができる状態だろうか。
そうでなかったら、何をどのように準備していくべきだろうか。
具体的に、期日を考慮して計画を立てているだろうか。
(短期的な目標、中長期的な目標)
<行動、方策の実行:仕事の選択、求職あるいは実現への活動、能力開発など>
具体的に目標達成のために、行動しているだろうか。
<適応>
仕事に、環境に適応できているだろうか。企業内では異動、昇進など。転職。
明確な方向性が打ち出せていない場合、
最初の「自己理解」に行き詰っている可能性があります。
パーソナルビジネスモデルでは、キーリソースが明確に把握できていないケースです。
自分の夢や希望も含めて、
自分自身の「棚卸」作業をした方がいいですね。
自分の短所、弱点はなんとなくわかりますが、
どうしたことか長所や強みはどうもあいまいで、的確に把握できていないことが多い。
このブログで取り上げているエクササイズなどでキーリソースをはっきりさせておきましょう。
キャリア・プランシートの文章をパーソナルビジネスモデル・キャンバスに落とし込んでみる
2016/9/25
次の文章は、「ジョブ・カード講習テキスト(ジョブ・カード編)」で取り上げてられているものです。
この文章は、「職務経歴書シート」を書き上げ、それに基づいて「仕事の振り返りシート」を利用して、キャリアコンサルタントあるいはジョブ・カード作成アドバイザーのアドバイスを受けながら、今後のキャリア・プランを書き上げたものと推察されます。併せて「資格・免許シート」も当然作成したことでしょう。
私はまだ専門分野と呼べるものを持っていないが、専門性を生かした仕事をしたいと思っています。
これまでの職業経験の中では、アルバイトではあったが、〇〇株式会社において商品管理業務に従事し、自分は物流関係の職務に関心が強いことを認識しました。これを受けて、〇〇株式会社の有期実習型訓練(国際物流コース)を受講した。訓練中に以前アルバイトで身につけていたマナーや、会社組織の仕組みを思い出し、これがその後の訓練に活かされたと思います。
このときの経験を評価され、〇〇株式会社に正社員として就職しました。家族からは経済的な自立を求められていたが、それには応えられたと思います。
現在は物流現場のオペレーションに従事しています。仕事で必要なことを理解して取り組むのは得意なので、まだ就職したばかりだが、訓練の経験と就職後の経験を活かせていると思います。
訓練の頃から説明や意見を述べることが不得手であることの指摘を受けていることから、話をするときに何が説明のポイントになるのか気を付けて話すようにしています。まだ上手くできているとは言えないが、上司から先輩の話し方を真似してみるとよいとアドバイスをいただき、また先輩からも助言をいただき、よくなってきていると褒めていただきました。
上司、先輩に恵まれ、仕事は順調にできています。今後もこの会社で物流関係のキャリアを積んでいきたい。
まずは日本ロジステックス協会の物流技術管理士の資格取得を目指して、日々の業務と各種参考文献により知識の習得に努めています。
将来は物流の専門性を有しつつ企業経営に参加できるような人材になりたい。このため、在学中に修得した簿記に関する知識を深めたうえで、物流コストに関する知識、会社の予算・実績管理や差異分析、経理処理に係る簿記や関連法令、作業生産性や品質管理の指標設定等に係る知識を習得したい。
私の加筆を含めて下図のようにパーソナルビジネスモデル・キャンバスに表現しなおしてみました。
キャンバスで俯瞰し、曖昧さをなくしていく
いかがでしょうか。
このように文章ばかり続く内容を、パーソナルビジネスモデル・キャンバスの9つのブロックに配置してみると、さらに本人の希望する将来の方向付けが俯瞰できるのではないでしょうか。
いま、未来に向かって、何をいつまでにすればよいのかも明確になってきます。
動機付けも本当に本人が満足いくものになっているでしょうか。
ワクワクして、取り組んでいけるでしょうか。
何よりも、自分のキーリソースを明らかにしているでしょうか。
9つのブロックにあいまいなところはないでしょうか。
9つのブロックで考えていくだけでも、多くの気付きがもたらされるのではないでしょうか。
キャリア・プランシートのような長い文章化されたものは一見整合性が取れているように感じます。
キャンバスに落とし仕込んでみると、論理的、構造的にパーソナルビジネスモデルが機能していくかどうか、議論の余地が出てくる場合もあります。
なによりも自分が自分の仕事と人生をいかにデザインしていくか楽しくなってきます。いつもこのキャンバスのイメージが自分主役のワーク&ライフ(仕事と人生)のドライビング・フォース(駆動力)になってくるのではないでしょうか。
パーソナルビジネスモデル・キャンバスからキャリア・プランシートへ
さて、パーソナルビジネスモデル・キャンバスからスタートすることも可能になると思います。
「職務経歴書シート」を作成し、「仕事の振り返りシート」で自分の強みなどを確認できます。
「資格・免許シート」で各種研修などを把握できると思います。
これらをもとにして、キャンバスの「キーリソース」を明らかにし、「キーアクティビティ」を記述し、顧客を明確にして、「与える価値」を創り上げていくという方法もあります。その後、キャリア・プランシートを書き上げていくというものです。
目的宣言文をつくってみる
ちなみに、この事例の目的宣言文を、上記の引用した文章から作成してみました。このフレーズはキャンバスを元にして、簡潔に表現しました。「私」はどんな人なのかを表していますね。
私のビジネスモデルの目的宣言文「私は、顧客(上司、先輩、直接・間接的な取引先、エンドユーザー)のために物流技術管理士として、生産性・品質向上などに寄与し、企業経営に参加できるような人材です」
さらに、短縮すると、
「私は、物流技術管理士として、生産性・品質向上などに寄与し、企業経営に参加する」
そのためには、次のようなアクションを起こしていく。
- 物流技術管理士の資格を取得する
- 生産性・品質向上の具体策を提案し、実現のリーダーシップをとる
- 企業経営について、市場環境、人材育成に積極的に関わっていく